院長ブログ
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学術活動

2020.8.28



 当院は学術活動(臨床研究活動)を推進する病院であることを掲げていますが、今年はコロナ禍の影響で獣医学諸学会の多くが中止かオンライン開催であるため、活動停滞を余儀なくされています。学術活動では今まで当院を受診された多くの犬猫さん達から得られた貴重な情報が活用されており、臨床的判断が難しかった例、稀有な病態、新規治療法を実施した例などを発表しています。発表前には可能な限り飼い主様に連絡して承諾をいただいておりますので、何卒ご理解とご協力を願いする次第です。

 当院がスタッフの学術活動を支援する理由は主に以下の3つです。
  ①専門家として「言葉」を選択する重要性に目を向けるため
  ②関係者間で円滑なディスカッションを行うため
  ③関連分野に対してより深い興味を持つため

 学術活動と聞くとハードルが高いイメージがあるかもしれませんが、ここでは知識・技術の修練のみを目的とはせず、自身の考えをまとめ伝えるプロセスから言葉を選ぶ大切さと難しさを経験することに主眼が置かれています。言葉の鍛錬は飼い主様との円滑なコミュニケーションにも必要であるため、学術活動は多方面に好循環を生みます。日常診療の合間に行う学術活動には大変な労力を要しますが、経験したことは後で必ず活かされますので諦めずに続けることがやはり大切です。特に動物看護師職は今後の獣医療の質を向上させるために、より重要な役割を担うようになるでしょう。動物看護師の国家資格化が決定した昨今では、動物看護分野における研究活動も活発化しており、獣医学とは異なる立場から動物医療を考える専門家の一人としての活躍が期待されます。

 当院に関係する話題として、スタッフの大久保動物看護師が先日、日本動物看護学会の学会誌『Veterinary Nursing』へ盲目猫の飼養管理に関する症例報告を投稿いたしました。英語文献の翻訳や文章作成など不慣れな作業の連続だったはずですが、彼の諦めない精神力が一つの形として結実したものだと思います。私は彼の活動が現在の獣医師主体の獣医療に「他の目線」を加える画期的な一歩になると確信しています。