院長ブログ
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健康診断について その1

2019.6.27

 今回は健康診断のお話を2回にわたって紹介させていただきます。
 最近は春の予防シーズンが落ち着き、代わって健康診断についての問い合わせが増えてまいりました。その際、「健康診断」という単語を用いて表現される方が非常に多いことから、動物のそれは人医療の健康診断をベースにした印象をお持ちの方が多いと推察します。健康診断に関する問い合わせからは、大切な家族が健康に長寿を全うして欲しい、と願う飼い主様の思いが動物病院への期待とともに現れていることを実感いたします。
 動物の健康診断については、人医療のように科学的検証を経た明確なガイドラインが存在しないためか、動物病院によってその方法も考え方も様々です。当院では獣医師と飼い主様の意識の相違を埋めるプロセスを挟むことで健康診断を受ける意義や目的を明確にする試みを実施します。本内容は当院独自の方針を示したものであり、他院の方針について何ら意見を述べるものではありません。
 私は前職が腫瘍内科医でしたので、腫瘍性疾患を患った犬猫の初診(初めて来院された時)に数多く立ち会わせていただきました。そこで印象的だったのは外科的治療が適応でないと判断される、いわゆる末期癌と診断された犬猫の飼い主様が多く口にしておられた、「前に健康診断をしたばかりだったのに…」という言葉でした。この真意の多くは、直近の健康診断で主治医の先生が腫瘍を見逃したというわけではなく、おそらくその時は存在すらしなかった、あるいは検出できないくらい微小な病変しかなかった、のいずれかだと思われます。犬猫の悪性腫瘍は人の場合と比較して、早期診断されても完全な治癒(根治)そのものが困難な腫瘍(リンパ腫など)の発生が多い、病状の転帰が迅速である、臨床的に有用性の高い特殊検査(腫瘍マーカーなど)が開発されていないなど、事前に理解しておいていただきたい現実があります。
 健康診断の目的は腫瘍性疾患に限ったものではなく前述の内容は一例に過ぎませんが、つまり当院では犬猫の健康診断は人医療とは全く異なる感覚で受けていただく必要があると考えておりますので、飼い主様との相談によってその要望に応じた個別の健診計画を提案いたします。
 次回に続きます。