院長ブログ blog

神田ACの動物医療

猫を保護して動物病院を受診される方へ

 野外で保護した猫さんを連れて動物病院を受診される保護主様は一年を通してしばしば見られます。保護した猫さんが成猫の場合、交通事故で大けがを負っている、あるいは病気のために消耗して動けなくなっているケースが大半であり、相応に重症であることが分かります。

 多くの方が何とか助けてあげたい、という善意で猫さんを連れて来られていますので、その善意を否定するつもりは全くありません。一方で、動物医療にかかる多額の診療費や、その後の猫さんの自立した生活、という現実的な面への意識が外れている保護主様が割と多いことも以前から気になっていました。我々獣医師が一度の診察で保護された猫さんの状態を正確に把握することは困難です。特に交通事故では目に見えない重篤な変化が数日後に生じることもあります。初診時はそういった未来の予測が難しい中で治療方針を提案することになりますので、診療費の見積もりはとても高額になり、その金額をかけても助からない、あるいは生涯に渡る介護が必要なほどの後遺症が残ってしまう場合もあります。保護して終わりというわけにはいきませんので、その後の猫の生活まで考慮する必要があります。

 猫を保護された方は前述のことを一度よくお考えの上で動物病院を受診してください。公的な動物保護施設がない現状では、原則として保護された方が全責任を持つことにならざるを得ません。見殺しにするのは薄情だとお感じになる方は多いと思いますが、この問題に妥当な解決策が見つかっていないのが社会の実情です。動物保護団体の方々がこの問題に対して懸命に対処しておられますが、保護する側の意識が変化してこない限り、一部の人へしわ寄せが行く構図は明白と言えます。

 当院として保護猫への特別な対応はなく、あくまでお連れいただいた方を飼い主様として通常の診療が行われます。この難題に対しては、やはり野外の猫を増やさないという地域毎の取り組みが最初に重要だと考えます。