動物病院における診療費の未払いについて
院内掲示やホームページでお知らせしている通り、5月10日からしばらくの間、日曜の診療を休診いたします。
今回は、昨年当院で発生した診療費の未払いについて、備忘録として記します。
動物病院における診療費の未払いが決して珍しい話ではないことは、開業前から何度も同業者から聞かされていました。幸いにも当院では開業以来、診療費をお支払いいただけなかった事例はありませんでした。
しかし昨年、緊急手術となった犬の飼い主様から退院の日に、「今は手持ちがないので、支払いを翌月まで待って欲しい」という相談を受けました。私はその飼い主様の「必ず支払う」という言葉を信じ、その場は一時的な未収金として対応しました。ところが、支払い期限が過ぎても入金はなく、その後の電話連絡にも応じていただけませんでした。
相手方の反応がないため、やむを得ずその後の対応を弁護士に依頼しました。先方は弁護士の連絡には一時的に応じたものの、督促後の指定期日にも支払いはありませんでした。この件は最終的に裁判所での手続きまで進み、結果的に当院の主張が認められる形となりました。
ただし、このような結果でも未収金の全額を回収できたわけではありません。我々は裁判に多大な労力と時間とお金を使ったにも関わらず、双方に不利益が残りました。結局はどちらにも利がない結果になったと言えます。多くの動物病院が抱える未収金問題が、事実上泣き寝入りになりやすいとされる理由も、今回の経験を通して一定の理解に至りました。
そして、このような事案で最も不利益を被るのは動物の立場です。人はそれぞれ事情があるのは当然ですので、支払いに関する誠実な事前相談があれば妥当な落としどころが見つかったかもしれず、その点は今でも少し悔やまれるところです。
もちろん、今回のようなトラブルは極々一部であり、動物医療は一般的なルールを粛々と守ってくださっている大多数の飼い主様によって支えられています。
正直に言えば、今回のようなトラブル対応は可能な限り避けたいものです。診療の現場では、診療以外に労力を使う余裕がないのです。一方で、動物病院を続けていく以上は診療だけでなく、こうした現実とも向き合っていく必要があると改めて感じた次第です。