院長ブログ blog

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災害への備えと試み

 私と妻(副院長)は2011年3月11日の東日本大震災発生当時、私が勤務していた大学がある青森県十和田市におりました。本震が起こった14時46分、私は卒業式後の祝賀会場におり、天井からシャンデリアのガラス片が落下してきたことを鮮明に覚えています。そこから数日間は水道・電気・ガスが止まり、街は信号機の明かりもない異様な光景でした。十和田市は内陸だったので津波被害はありませんでしたが、青森県の太平洋沿岸地域では津波による死傷者も出ました。通信が途絶えたため、未曽有の大惨事であることを知ったのは地震発生の翌日でした。

私は地震発生から1週間後、仙台にいた友人の支援のため物資を車に積み込んで単身で仙台市内に入りました。現地沿岸部の惨状は筆舌に尽くしがたく、津波で全てが破壊されていました。勇んで現地に行った私は衝撃を受けたと同時に、何もできない自分に強い無力感を感じたのです。あれから10年以上が経過し、南海トラフ大地震の発生リスクが叫ばれる今日において、過去に経験したあの規模の災害が高知で…と想像した時、実際に震災を経験した獣医師として今からできることはないかは時々考えます。

 先日、日本獣医師会の主催による災害に関する講習会が高知市内で開催され、当院からは私と愛玩動物看護師の大久保くんが参加しました。災害時に動物医療の機能を可能な限り維持することは、動物だけでなく人にとっても意味のあることだと思いますので、多くの動物医療従事者が活動できるように組織としての支援体制も整備しなければならないと強く感じました。

 当院では私が無事である限り、発災後速やかに診療を行えるように平時より準備しております。特に津波被害が全国同時多発的に発生した場合、他地域から高知への支援は大幅な遅れが出る可能性が指摘されています。そのため、平時からの準備が一層重要になると考えます。

 講習会の修了証です。被災地では全体を俯瞰して考えるための知識と意識が不可欠だということを再認識できた、貴重な講習会となりました。