船頭多くして船山に上る
普段は当院以外の病院を受診されているという飼い主様は珍しくなく、諸事情によって病院を使い分けておられるのだと思います。時折、他院の診察結果を申し訳なさそうにお話になる飼い主様がいらっしゃることを受け、今回のブログでは複数の動物病院をかかりつけにすることのメリットや注意点についての私見をまとめます。
高知県は動物医療が大都市並みに整備されているとは言い難く、専門診療を行う高度化された二次診療施設もなければ24時間365日どこかの病院が診療を行っている環境もありません。診療上の判断が難しくなるようなケースに対して、専門医を安易に紹介できる状況もないため、それぞれの病院がそれぞれ最善の判断を行っています。複数の動物病院をかかりつけにすることには、各獣医師の癖や得意分野を把握できるというメリットがありますし、休診日対策や診療費の差も知ることができます。個人的には犬猫が若く、重い病気を患う可能性が低いうちに複数の病院を受診して、利用目的に合った病院を予め選んでおくことには利があると思います。
一方で獣医師側の意見として飼い主様の頭の片隅に留め置いていただきたいことがあります。それは、特に病気の中・長期的な治療において診療方針を決定する「主治医」が誰なのか?ということを飼い主様が決めておくということです。診療は時に経過を追うことを必要としますので、主治医が立てた計画が途中で勝手に変更されることは、動物と飼い主様に不利益を及ぼす可能性を含みます。そのため、主治医でない獣医師が治療途中に治療方針と異なる加療を施すことは避けなければいけません。
誤解のないように申し添えると、私は自分が主治医でない犬猫は診ないという意味ではなく、主治医と飼い主様間で構築されている共通認識をベースにして診療を組んだ方が結果的に良いと考えているのです。セカンドオピニオンという名目であれば率直な私の意見をお伝えしますし、転院したいという御希望であればその考慮を加えます。
動物とご家族にとって最善の方法を選択したい、という目標は我々も飼い主様も同じですので、動物病院としてはお互いにもっとオープンな関係の中で診療を構築したいと考えている今日この頃です。