情報との付き合い方 -ネット検索の功罪-
人の心配を解消するサービスには相応の価値が生まれ、その典型例の一つが動物医療です。動物は言葉を話しませんので、多くのことが人の想像で語られます。想像であるが故に心配や不安が増長されやすく、得られる情報によって行動への影響を受けやすいと言えます。今回のブログでは、特に心配性を自認されている方に向けて情報との付き合い方の私見をまとめました。
当院を受診される飼い主様の中で、ネットから情報を得て来院される方は年々増えています。これは私が獣医師になった頃にはあまり見られなかったことなので、急速に進む時代の変化だと感じています。飼い主様からすると動物病院を受診する前に犬猫の体調に関する情報を少しでも知っておきたいと考えることは至極当然ですし、ある程度の基礎知識をもって受診した方が獣医療の小難しい話を理解しやすいこともあります。また、自身の心配を落ち着かせる目的で調べることもあると思います。ところが、私の経験では納得いく情報は調べてもなかなか見つからず、むしろ心配や不安が増すことの方が多いのが常です。
多くの飼い主様は氾濫している情報と上手く付き合っているようにお見受けしますが、一方で心配の渦に飲み込まれている方もいらっしゃいます。そうなってしまう主な理由には、調べる目的が不安を解消することに移行してしまって、結果に対する過度な期待が存在することが挙げられます。期待度の高さは情報の無意識的な選別につながり、真理を追究する本来の目的が見失われます。前述の通り、人の不安を解消することには一定の価値があるため、不安を煽るような表現を用いている情報はネット上に多くあります。
とは言え、情報を適切に扱うことは我々のような専門家でもすごく難しいことです。個人的な意見として、情報を扱ううえで大切なことは「自分は何も知らない」「真に知りたい情報は得られない」ということを肝に銘じて謙虚に実行することだと考えます。真に価値のある情報は通常、それに見合った対価を支払わないと手に入れることはできないものなのだと思います。