院長ブログ blog

院長の独り言

不安を扱う仕事

 動物病院という仕事は主に人が感じる「不安」を解消することを生業としておりますので、言い換えれば人の不安の上に成り立っている仕事とも言えます。人のネガティブな感情を扱う仕事であるがゆえに、動物医療従事者である我々には社会から問われるものがあると考えます。


 インターネットが普及した現代は、人々の不安を後押しするような情報が世に溢れ、飼い主様が抱く不安が増強されやすい社会環境になったと感じます。当院の診療においても、「インターネットで症状を検索したら悪いことばかり書いていあって不安になった」とおっしゃる飼い主様は以前より確実に増えました。さらに、飼い主様が抱える不安は動物医療現場へも伝染し、本来なら不必要な検査や処置・処方への要望が増える一因にもなってしまいます。飼い主様の心理状態を汲み取りながら診察の内容を調整することは動物医療では当たり前の行為ですが、飼い主様の不安に引っ張られて我々が動物に対して過剰診療を施すとすれば、それは本末転倒です。我々が担う本来の役割は、犬猫を中心とした家族にとって最も利する選択肢を提案することに他なりません。

 また、獣医師の言葉は意図せずとも飼い主様に大きな不安を与えてしまうことがあります。それ故に、我々は言葉に十分注意しなければならず、安易な表現は避け、且ついたずらに不安を煽らず、適度に自己防衛もしながら、という難しい立ち位置をとらなくてはなりません。何はともあれ不安を扱う仕事であるからこそ、我々は飼い主様との信頼関係の構築が最も重要で難しい課題であることを再認識するのです。
 以上のことから、当院の診療では不安への感受性が高い飼い主様に対しては事実を整理するための十分な時間を取るように努めてまいります。不安を受容し、現実を直視することで飼い主様にとっての最善の結果を求めたいと常々考えております。えております。

 新病院猫どんすけ君の経過です。1歳になった現在の体重は2.0kgで、立派な成猫になりました。徐々に体の自由が失われてきているのか、自力で移動することも難しくなってきました。筋力の低下は明らかに進行性であり、排泄のコントロールは以前よりも不安定になっています。それでも食欲は十分にあり、感情の表出にも問題はなく意思疎通もとれ、とても元気です。引き続き、彼の生活向上に向けた介入を模索していきます。